高齢者が転倒しやすいのには、主に2つの要因が考えられます。高齢者本人の健康状態などによる内的要因と、生活環境における外的要因です。内的要因には精神不安や薬の副作用など、毎日の体調の変化などを観察することで注意します。高齢者になると動きもスローになるので、マイペースで穏やかに生活できるように、焦らせるような声かけは控えます。薬の管理も、副作用をしっかり理解しておく必要があります。個人によって効き目も飲み合わせも違うので、個人の状態の把握が大切です。
外的要因では、床が滑って転ばないように滑り止めを敷いたり、手すりやスロープを設置するなど、生活しやすい環境を整えます。浴室の床も滑りにくいものにしましょう。室内履きのシューズも、スリッパのようなものではなく、脱げにくく滑りにくいシューズにするなど配慮が大切です。また、施設の介護機器や設備は定期的に安全点検を行っておきます。そして、利用者の動作に無理が生じるような場所は、スムーズに行動できるように改善する事で、スタッフ側の介助の負担も減ります。介助をする手順や動作の見直しをすることも、転倒事故防止の対策になります。
転倒防止の対策をしていても、転倒事故が全く起きないとはいいきれません。それでも介護施設内で転倒事故が起きてしまったときは、迅速に転倒事故に対応できるように、しっかりとしたマニュアルを作っておくなど、スタッフ間での連携が取れるようにしておくと良いでしょう。